大人オリジナル小説

瑠璃色の菖蒲(合作r18BL短編集)
日時: 2022/04/25 23:12
名前: 白楼雪+ゆうりん@ベルトルトは神

 ゆうりん@ベルトルトは神さんとの合作BL短編集です。
 R18有の合作は初なのですが、よろしければ温かい心で見守ってください。

 一応一本目は私、白楼が務めさせて戴きます。

※ ご意見・ご感想等は、雑談の方にある私のトピにお願いします。
  荒らし、乗っ取りはやめてください。
  その他「雑談したい」「合作したい」「意見交換してみたい」等も、
  雑談の方に来てもらえると助かります。

 それでは亀更新ながら始めさせて戴きます。


※ 2019/8/29  閲覧数1000突破しました。
         いつも合作短編集『瑠璃色の菖蒲』を読んで戴きありがとうございます。
         これからもゆっくり頑張りますので、よろしくお願いします。

※ 2019/11/17 閲覧数1500突破しました。
         今年中には三本目を終えたいと思ってはいるので、応援していて下さい。
         なお、終えたいという気持ちと、終わる事は別です(苦笑)頑張りはします。

※ 2022/4/25  閲覧数7000突破しました。
         三年過ぎた今も読んで戴いている。
         その事に感謝しております。
         これからも新たな物語を綴り続けます。頑張るぞ!

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Re: 瑠璃色の菖蒲(合作r18BL短編集) ( No.55 )
日時: 2019/12/27 01:45
名前: 白楼雪


 ※※※


荒い呼吸が幾分か落ち着いた頃。
汗は乾き、室内の温度が二人の肌に馴染み始める。
汚れ皺の寄った白いシーツに投げ出された身体に、疲労の色が滲む。
「……意外と元気でしたね」
ぽそりと一つ、宮森が呟く。
その言葉が誰を指しているのかも、何を指しているのかも感づいた東雲は、言葉に悩み視線を逸らしていた。
あれほど宮森秋という一人の愛しい人に、思いやる様な言葉を吐いた自身だというのに。いざ情事に触れてしまうと、理性はあっさりと崩れ、宮森への欲を想いのまま溢れさせてしまっていた。
何が出来なくとも良いだ。隣に居られればだ。
本心からそれだけを思っているのならば、こんな容易く流されたりはしない。東雲は自身の言動に些かやり場のない気持ちを懐いてしまう。
「陽さん?寝ました?」
宮森に背を向け横たわる東雲に、静かな問い声が聞こえる。
気まずいのだから、このまま眠ったふりをしてしまえば良い。そんな思いも確かに東雲自身の中にはあった。
だが、それよりも優先したい気持ちが、東雲の身を動かす。
「いや、起きてる」
短い言葉と共に寝返りをうち、東雲の瞳が宮森の姿を捉えた。
互いに欲を充たしたあとだ。宮森のしなやかな肢体は羽毛布団だけを腰まで掛け、日に焼ける事を知らない肌を露となっている。
「陽さん、俺は…きっと貴方に、たくさん酷い事をしますよ」
不意に宮森が、言の葉を紡ぎ出す。
そこに何か言葉を挟むのは、野暮と言うものだろう。
東雲はただ淡々と宮森の言葉に、薄い笑みを浮かべた。
「俺は、まだ誰かを信じられはしないから、きっと貴方を何度も…何度も何回も試してしまうでしょう」
幾年月も傷つき苦痛に身を焦がしたのならば、今日会ったばかりの男を信じられなくても当然だろう。
「それでも、貴方は、俺の隣に居てくれますか?」
始めこそ平然と、静かに言葉を発していた宮森の声は、気がつけば、迷子の子供が何かにすがるような、そんな弱々しい声へと色を変えていた。
宮森は、分かっているのだ。自覚をしているのだろう。
この先、東雲という恋人を得たとしても、人を信じられない自分はすぐに東雲を信じられはしない。だがそれでも、東雲を信じてみたくて、隣に居たいと、居て欲しいと願っている。
側に居て欲しいと願うも、きっと傷つけてばかりになるであろうという事を覚悟しているのだ。

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