大人オリジナル小説
- 嘘吐き造花が枯れるとき。
- 日時: 2014/10/25 22:18
- 名前: 桜 ◆7gBpJ8SNck
初めまして、もしくはお久しぶりです。
未熟ですが、よろしくお願いします。
私の体験も若干入っていたりしますが、多くはフィクションです。
前回に引き続き、御注意を。
・私の文章はまだまだ未熟です。
・誤字脱字があるかもしれません。(指摘して頂けると助かります)
・更新は不定期です。
・社会派小説から外れてしまうかもしれません。
・自己満足の小説で私の偏見で書いている所もあります。
そんな小説でも大丈夫でしたら、そのまま下へお願いします。
無理でしたら、小説一覧へお戻り下さい。
荒らし等はお止め下さい。アドバイスは大歓迎です。
コメントを頂けると嬉しいです。
それでは、始めます。
――――――これが私にとっての幸せなのでしょうか。
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- Re: 嘘吐き造花が枯れるとき。 ( No.22 )
- 日時: 2014/10/25 21:55
- 名前: 桜
息苦しい。水の中にいるように思うように息が出来ない。上手く泳げもしない。手足をばたつかせて、どんどん沈んでいく。もうヒカリが見えないほど深くまで。手を伸ばしても届かない。
最初は上手く泳げているつもりだったのに。いつしか泳げなくなった。
だから私は、一緒に溺れる仲間を作った。
寂しくない様に。楽しく、虚しく沈んでいく。
「……久しぶり」
綺麗な笑顔の緋色。透き通った声。私の自慢の友達。
「……何日ぶりかな?」
今日も緋色は屋上にいる。前と変わらず、ずっと。
「13日ぶりだね」
数えてるなんて気持ち悪いよね。普通は引くよね。でも、緋色は友達だから。親友だから。
「……笑美に会えて嬉しいよ」
優しい言葉をかけてくれる。私の本心を分かってくれる。
「ありがとう、私もだよ」
だから、嘘を吐くんだ。優しい嘘を。
只、自己満足に浸りたいだけ。私が居なければ緋色は1人だって。私は必要なんだって。
……反対なのにね。
「緋色ってどこの中学?」
初めて聞いた。もう出会って2か月近く経っているけど、1度も聞いたことがなかった。緋色も聞かなかった。“学校”のことなんて。
分かってたのに、何で。約束したのに。
「……ごめんね」
緋色には聞いちゃいけない。分かってるよ。けれど聞いてしまった。緋色に“学校”のことを。
緋色はいつも長袖の服を着ているよね。それに少し汚れているよね。
ああ、そういえばいつも制服だね。制服を見れば学校がどこかなんて分かるよね。うん、分かってたよ。
緋色の学校はどこで、何で制服がいつも長袖で汚れているかなんてね。それを知ってて聞いたんだ。
私の悪意で。言葉のナイフで。
沈黙が辺りを包む。
「……誤解しないでね。笑美のことが嫌いなわけじゃないの。私は、………」
緋色は途中で言葉を止めた。言わなくても分かるよ。緋色を見ていれば分かるよ。
いつも言葉を選んで話している。だから間があいてしまう。
人の顔色ばかり窺っていて震えている。他人を恐れている。
昔の私。憎らしいくらい私と似ていた。消してしまいたい、あの頃の私に。
「私こそごめんね、変なこと聞いちゃって」
緋色は顔を何度も横に振る。小さな声で大丈夫って言う。綺麗な笑顔を歪ませて。
「ねえ、学校楽しい?」
小さな声で囁くように言う。優しい声で。優しい笑顔で。
傷つける。現実を突きつける。
「……っ」
緋色がびくっと震えた。そして、弱々しい笑顔で返してくれた。
「……楽しいよ」
本当に私そっくりで。消してしまいたい。
「今日は帰るね、またいつか」
私は緋色の顔を見なかった。逃げるように屋上を出た。只、怖かった。緋色の笑顔が怖かった。今にも壊れてしまいそうな笑顔が。私が壊してしまいそうで。
もう緋色に会えなくなりそうで。
緋色が消えてしまいそうで。
もしもこれが最後だったら。もう会えないとしたら。
私は涙を流せるかな?
いつも通りに笑って忘れてしまうかな?
……私は緋色が居なくなることを望んでいるのかな?
人を傷つけたい。人を陥れたい。そんな欲望が抑えられなくて。
皆々私より下。私は皆とは違う。そんな考えが消えなくて。良い子を演じるのに疲れて。私は緋色を傷つけたい。壊してしまいたい。
綺麗なモノほどバラバラにしたい。弱い者ほど傷つけたい。
自分で作り上げたモノを、私の居場所を、2人の居場所を。
私は壊してしまった。
……嘘だと言ってよ。
いつものように笑ってよ。
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