大人オリジナル小説
- ケモナーズ・メディスン ~ 獣人界の獣医師 ~
- 日時: 2017/01/25 13:17
- 名前: アスペル亀
- 参照: http://ncode.syosetu.com/n0674do/
犬科、猫科、ウサギ科、etc...
多種多様な獣人たちが暮らす現代社会を舞台にした医療小説です。
獣人の世界で活躍する人間の獣医師が診る、症例と獣人生の物語。
動物病院はもちろん、保健所での安楽死や食肉処理施設の屠殺解体などの社会のタブーも題材にしています。
ファンタジー世界ではありますが、内容はできる限り現実を投影させています。
*他サイトにて投稿中だった作品の中から、特に反響が多かったエピソードをピックアップしています。
ケモナー好きな絵師様、ガチで募集中です。
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- Re: ケモナーズ・メディスン ~ 獣人界の獣医師 ~ ( No.17 )
- 日時: 2017/01/25 13:01
- 名前: アスペル亀
- 参照: http://ncode.syosetu.com/n0674do/
ロンはテオブロミンの作用する神経中毒を引き起こしながら、ドン・ブッチリーノのいる館の地下迷宮の奥へと運び込まれていった。
そのさなか、痙攣し、朦朧とする意識の中、地下迷宮を走り回る多くの獣人兵士の姿を見た。
それは、かつてこの獣人界を焦土と化したとされる“彼の世界”との戦争の光景だった。
神獣大戦・・・
神獣歴13万5千・・・くらい年前。
それ以前の獣たちは、ある一つの属の為の食料であり、道具であり、慰みの玩具でもあった。
その一つの属が何というのかは、どの記録にも残されていなかった。
ただあるのは、その全てを支配していた属は、自らの手によって、神獣様を呼び出してしまったということだ。
その一つの属が欲していたものは、“転生”と言われる現象の一つの移転先として、この獣人界そのものを支配することだった。
増え続ける人口に、“彼の世界”での存続を諦めた多くのよそ者たちが、この世界に目をつけた。
次々に転生してくる者たちと一緒に、獣人界には存在しなかった病原体や文明兵器が襲った。
その時に獣人界にいた獣は、9割以上の科属が死に絶えたと言われている。
怒った神獣様は、平和しか知らなかった獣人たちに武器を持たせ、転生支配をしてくる“彼の世界”と戦った。
どちらの世界が消えたのか?
今ある世界はどちら側のものなのか?
そして、神獣様の行方についても、その後の記録は一切ない。
古典的な都市伝説ではあるが、その異世界で支配階級にあった属というのは・・・・・・
「おい、ロン!顔をあげろ!」
痙攣の治まりゆくロンに、一人の男が話しかける。
ロンは、僅かに回復した意識の中、白衣を着た被毛のほとんど持たない人間属の男を認識した。
「ジアゼパムを打っといた。しばらくは昏睡状態になるが、意識が戻ったんなら大丈夫だ。俺が分かるか?」
ロンは襲い来る強烈な睡魔に耐え、辛うじて声を振り絞った。
「・・・・神獣様・・・・・」
深い眠りに落ちたロンを置き、院長は立ち上がる。
迷宮の通路には、大勢のブッチリーノ・ファミリーの獣人たちが倒れていた。
「まずいな。既にウィルスのRNA変異は完了しちまってるか・・・」
呟く院長は、傍に倒れていたイタグレ属のアランを見つけ、意識の有無を確認する。
「おい、助けてやるからボスのいるところを言え。あのキツネは今どこだ?」
アランは炎症を起こした肺と気管を搾り出し、苦しそうに答える。
「こ・・・この先の・・・最奥の地下牢だ・・・・もう一人の・・キツネも・・・あそこに行った」
「何だと、もう一匹!?ということは!」
院長は聴診器を手に握り、深い迷宮の最奥部まで走った。
ブッチリーノは倒れそうなくらいの高熱と、粘性の増した気管枝の苦しい呼吸音にも関わらず、全裸で縛り上げられたクーの身体を貪っていた。
「ぜぇー、ぜぇー・・・クーよ・・・お前の身体さえあれば、ワシは死んでも構わないんだよ・・・一緒に昇天といこうじゃないか・・・ゲヘヘエ・・」
ブッチリーノの理性は壊れかけていた。
ウィルスが中枢部にまで達した神経障害により眼振する瞳が、血走り充血している。
亢進する唾液と鼻汁にクシャクシャになった顔面が、クーのマズルに擦り付けられる。
止まらないアセチリコリンの分泌は、彼の陰茎を硬直させ収まらせなかった。
子狐の肛門に、フレンチブルの陰茎が突き刺さる。
身動き出来ない体に、壊されそうな肛門括約筋の痛みに耐えながら、クーは“その時”を待っていた。
ブッチリーノの頭部に、背後から巨大な斧が振り下ろされる。
クーと同じサファイア色の被毛をもつ、キツネ属の少女だった。
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