大人オリジナル小説
- ケモナーズ・メディスン ~ 獣人界の獣医師 ~
- 日時: 2017/01/25 13:17
- 名前: アスペル亀
- 参照: http://ncode.syosetu.com/n0674do/
犬科、猫科、ウサギ科、etc...
多種多様な獣人たちが暮らす現代社会を舞台にした医療小説です。
獣人の世界で活躍する人間の獣医師が診る、症例と獣人生の物語。
動物病院はもちろん、保健所での安楽死や食肉処理施設の屠殺解体などの社会のタブーも題材にしています。
ファンタジー世界ではありますが、内容はできる限り現実を投影させています。
*他サイトにて投稿中だった作品の中から、特に反響が多かったエピソードをピックアップしています。
ケモナー好きな絵師様、ガチで募集中です。
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- Re: ケモナーズ・メディスン ~ 獣人界の獣医師 ~ ( No.26 )
- 日時: 2017/01/25 13:11
- 名前: アスペル亀
- 参照: http://ncode.syosetu.com/n0674do/
院長は帰る方向でセンターの出口へと向かう。
追いかけてきたジュンコが怒りに満ちた表情で叫び出す。
「いんちょぉぉ!てめぇ自分の選択解ってんだろうな!」
最初はマスクでわからなかったが、厚い唇は情熱さを強調する口紅で彩られ、頬には女性の色気を強調させる薄紅のチークが浮きだたされている。
明らかに、時間をかけた勝負化粧だった。
「BSEの拡散が分かれば、この国の産業は死ぬんだ!大勢の酪農家が失業するぞ!てめぇは大勢の恨みを買う!殺されても文句いえねぇーからな!」
ジュンコの恫喝は、自分の”色仕掛け”を唯一一蹴してくる男に対して向ける悔しさも含まれていた。
何の興味も示してこずに去ろうとする院長の背中を見て、彼女は”自分の敵”の存在を再認識するのだった。
レミルは実家が保持している別荘である、人気の全くない山奥の土地にある小屋へと車を走らせていた。
隣には、タオルで冷える躰を温める、裸の美女が乗っていた。
これまでの人生で、親以外の他人を乗せたことはなかった。
初めて乗せる異性の獣人に、レミルは何と声を掛けたらよいか解らず、二人は終始無言でのまま、ヘッドライトの導く山道を進んでいった。
暗闇と山奥の静けさが満たされる山小屋の前で、車を止める。
レミルは、ボヴィーナへと話しかける。
「ごめんね、ここしか思いつかなくって。でもここは実家じゃもうほとんど使ってない土地だから、荒れ放題だけど、隠れるならもってこいだから」
外は0度近い寒さである。二人は小屋に入り、蜘蛛の巣の張った暖炉に火を付けた。
火に手をかざし、部屋が温まるのを待つ。
レミルはボヴィーナの為に、温かい飲み物を用意する。
しかし、あったのは、ウシ科獣人から搾乳した保存用の乳汁だけだった。
彼女に飲ませるには、かなりの抵抗があるものだった。
ボヴィーナは一枚のタオルを握りしめて、必死に暖炉の熱を取り込もうとしている。
これまでこんな凍える夜も裸で畜舎に縛りつけられ、毎日繰り返される凌辱をうけながら、彼女は何を思っていたのか、レミルには想像もつかなかった。
レミルはボヴィーナの横に座り、そっと寄り添った。
少しでも体温で寒さを和らげてあげたいと思っただけだが、彼女から香る女性の匂いと雰囲気は、レミルの鼠蹊部を厚く硬直させてしまう。
タオルでは隠しきれない程の、ボヴィーナの美しい乳房が暖炉の明かりに照らされる。
固く立った乳頭は、搾乳に酷使されてきたせいか、興奮をしている輪郭がくっきりと浮き出ている。
獣人としての生理現象は、防ぎようがなかった。
それは、彼女も一緒だった。
「あのさ?」
レミルが話しだそうとした時、ボヴィーナの唇が彼のマズルを包み込む。
「ごめんね・・・もう、発散しなくちゃ・・・」
ボヴィーナの濃厚な舌が、レミルの口腔内で舌を絡めとる。
彼女の圧し掛かる躰に、レミルは押し倒されたが、彼もボヴィーナの体を抱き込んだ。
彼女の大きく硬直した乳頭が、レミルのそれと擦れ合う。
寒空の下、二人はお互いの体温を感じ合いながら、躰中を求めあった。
レミルにとって、初めての異性の躰だった。
風俗店での経験はあっても、それとは明らかに違う温かさと興奮めいた情熱が沸き上がった。
ボヴィーナも、これまでの人工的な種付け、弄られるだけの玩具としての経験しかなかった。
初めて感じる、自由な欲情、獣人としての体温、そして、しっかりと存在を認めてくれる”抱かれる”という実感に、一生このままでいたいという思いが込み上げていた。
二人はマズルがぶつかり合う距離で見つめ合う。
恋が生まれるには、十分すぎる熱い時を、二人は分かち合った。
レミルはボヴィーナの子宮に、何度も射精をする。
ボヴィーナの乳頭からも、女獣人としての汁が零れ出り、レミルの躰へと垂れる。
二人は互いに何度も求め続ける。
途切れる暇も惜しみ、二人は互いの凍りついた人生を溶かし合い、寒空を生きようとする情事を重ねていった。
夜が明け、暖炉の牧も僅かな燃焼で辛うじて燃え続けている。
寄り添いながら浅い眠りつく二人を、暖かな朝日の木漏れ日が照らし出す。
目を覚ましたボヴィーナは、あどけない寝息を付くレミルをそっと撫でる。
立ち上がり、小屋にあるボロキレを最小限の衣類として身にまとう。
レミルの体に、冷えないようタオルを被せ、その黒い被毛に覆われた頬に優しくキスをする。
「ありがとう・・・・最期に、嬉しかった・・・・」
ボヴィーナは、そっとその小屋を出ていった。
北の王国、食品衛生管理センターでは、厳戒態勢の緊迫状態に陥っていた。
ジュンコは集められた全職員、一人一人を尋問して回る。
「20789号の・・・トレーサビリティが・・・・・いねぇ・・・・・何処だってきいてんだよ!」
いつもよりもさらに威圧の効いたジュンコの勢いに、全ての獣人作業員が萎縮する。
BSE発生の異常事態の中、検査対象のウシ科獣人が消えたということは、国家の信用にかかわる最悪の事態であった。
それだけにとどまらず、昨日の院長とのやり取りが、ジュンコの怒りの感情を相乗させていた。
作業員たちは全員、いつ殺されてもおかしくない恐怖に震えていた。
一人の獣人作業員が、声を上げる。
「あの〜・・・関係ないかもしれないんですが・・・・」
声は震えている。
ジュンコはその獣人を睨みつけ、叫ぶ。
「何だっつーんだ!あぁ!?」
その作業員は、戸惑いながらも、ようやく声を振り絞る。
「・・・同僚のレミルが、出勤していません。」
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