大人オリジナル小説

ケモナーズ・メディスン ~ 獣人界の獣医師 ~
日時: 2017/01/25 13:17
名前: アスペル亀
参照: http://ncode.syosetu.com/n0674do/

犬科、猫科、ウサギ科、etc...
多種多様な獣人たちが暮らす現代社会を舞台にした医療小説です。
獣人の世界で活躍する人間の獣医師が診る、症例と獣人生の物語。

動物病院はもちろん、保健所での安楽死や食肉処理施設の屠殺解体などの社会のタブーも題材にしています。
ファンタジー世界ではありますが、内容はできる限り現実を投影させています。


*他サイトにて投稿中だった作品の中から、特に反響が多かったエピソードをピックアップしています。
ケモナー好きな絵師様、ガチで募集中です。

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Re: ケモナーズ・メディスン ~ 獣人界の獣医師 ~ ( No.3 )
日時: 2017/01/25 12:50
名前: アスペル亀
参照: http://ncode.syosetu.com/n0674do/

ネコ科雑種属、チャーミー・フェライン、19歳
神獣歴135297年267転、避妊完了
証明として摘出卵巣、及び子宮を提示する。

 宮殿の審査官の前には、子宮頸・子宮体から対照的に広げられた子宮角と、その両端から伸びる卵管・卵巣が置かれている。

「ご苦労さん、ロン先生。これでまた余分な雑種猫が減るよ。謝礼は振り込んどくから。院長によろしくな」
 ネコ科マンチカン属の審査官は、作ったような笑みでロンを見送った。

 ロンは応えずに宮殿を去った。
「ちっ、お国の飼い猫が!」

 入院室ではチャーミーに掛かった麻酔がまだ覚めずにいた。
心電図の波形が、一定の間隔で彼女の鼓動を刻んでいた。

 寄り添うレオンが不安そうに院長に言う。
「いつになったら目を覚ますんだよ。まさか失敗したんじゃねぇだろうな?」

「あ?誰に物を言ってんだ?」
 院長は無表情で返す。

「俺の麻酔は、王子様のキスで覚めるんだよ」

 ・・・。

 レオンは苦笑の限りを表現して言い捨てた。
「・・・マジ意味わかんねぇ・・・ここに来てジョークで慰めとは、ほとほとあんたは最低なクズ医だな!お前、人間だろ?知ってるぜ、ものすげぇ感情が原始的だって!ホントそうだな!」

「だから滅んだのかもな」
 院長は全く表情を変えないまま二人を見ていた。

「審査官に検体を渡してきました」
 戻ってきたロンが言う。
「しかし大丈夫ですかね?後で問題にならなきゃいいんですけど・・・」

「お前の卑猥な犯罪行為がバレるより確率は低い。宮殿に渡した一角獣の子宮は双角子宮で、ネコ科のものとは区別しにくい。審査官はそこまで見てねぇ。お役所仕事だ、モノがありゃあいいんだよ」

 一角獣は野生に住む幻獣で、最近、院長の趣味であるハンティングで狩猟された雌の個体が院内に保存されていたのだった。
チャーミーの体には、メス一つ入れていなかったのだ。

 ロンは特に問題視してない様子で言う。
「しかしあのカップル、気づきますかね?女の体にまだ子宮も卵巣も残っているのを」

「気づくか気づかないかは、あいつらの問題だ。俺らには関係ねぇ。お互いの気持ちが変わらないんなら、そのうち気づくんじゃねぇの?」

「いや〜、院長、流石です!一生付いていきます!それならもう一度あの女とヤっても〜〜〜ぎゃあ!」
 院長はロンの陰茎目掛けて垂直蹴りを入れた。

 入院室のレオンは、静かに眠るチャーミーの唇にそっと口づけをした。
心電図の波形が間隔を狭め始めた。雨はいつの間にか上がっていた。


Case1 End

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