大人オリジナル小説

ケモナーズ・メディスン ~ 獣人界の獣医師 ~
日時: 2017/01/25 13:17
名前: アスペル亀
参照: http://ncode.syosetu.com/n0674do/

犬科、猫科、ウサギ科、etc...
多種多様な獣人たちが暮らす現代社会を舞台にした医療小説です。
獣人の世界で活躍する人間の獣医師が診る、症例と獣人生の物語。

動物病院はもちろん、保健所での安楽死や食肉処理施設の屠殺解体などの社会のタブーも題材にしています。
ファンタジー世界ではありますが、内容はできる限り現実を投影させています。


*他サイトにて投稿中だった作品の中から、特に反響が多かったエピソードをピックアップしています。
ケモナー好きな絵師様、ガチで募集中です。

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Re: ケモナーズ・メディスン ~ 獣人界の獣医師 ~ ( No.14 )
日時: 2017/01/25 12:59
名前: アスペル亀
参照: http://ncode.syosetu.com/n0674do/

院長の治療が開始され、その効果はたちまちブッチリーノの臨床症状に現れた。

 利尿剤の投与により、彼を悩ませていた咳の症状は改善、循環が良くなり浮腫み症状も和らいだ。
ステロイドの休薬によってクッシングの症状も無くなり、新薬の投与で安定した血糖値の維持が可能となった。
免疫抑制療法による過剰なアトピー性の反応も抑制され、シャンプー療法での二次感染も起こらずにいる。

 決められた食餌によるカロリー制限は、胃腸や肝臓の代謝を助け、抗酸化作用を得た皮膚のバリア機能の改善は、瞬く間にブッチリーノの被毛を三十年は若返らせていた。

「おい、院長?俺たちの目的忘れてんじゃねぇだろうな?」

 ロンは日に日に元気になっていくブッチリーノを見ていて、殺される不安が無くなると同時に沸き起こる別の不安に悩まされていた。

「おじきが會長に命じられた。奴らがシノギでやってる獣身売買のシンジケートを潰す為に、襲撃を起こす計画らしい。取引の場所と日時、そして構成員の数の情報が欲しいから、何とか聞き出さねぇと」

 柴組連合とブッチリーノ・ファミリーの大抗争の勃発が確実に迫っていたことに、ロンは焦りを感じていた。

「今のあんたはブッチリーノからめちゃめちゃ信用されている!チャンスだぞ!」

「ならお前が聞き出せよ?俺は主治医として働けとしか言われてないからな」
 院長は無表情に返した。

「てめぇ!やっぱり寝返るつもりじゃ・・・」

 牙を剥き出しにするロンの視界に、いつの間にかアランの姿が入り込んでいた。
ロンの血の気が引く。

「ドンがお呼びだ。先生方」
 ロンの焦りと逆に、アランは何も警戒をしてない様子に見えた。




 二人はアランに連れられブッチリーノが待っていると聞いた、”地下室”へと向かった。
屋敷の地下に広がる石畳の廊下は、紆余曲折に伸び分かれており、迷宮との呼び方が正しかった。

 院長は何故かそこを迷うことなくどんどん歩き進んでいった。

 部屋の中は松明の火だけで照らされた、古今東西の拘束具と拷問器具が並ぶ。
その中の一つの十字架をした器具に、裸にされたクーが括り付けられていた。

 既に”戯れ”は一通りの情事を終えており、クーのサファイア色の被毛は、そのボリュームある尻尾の先までブッチリーノの体液でカピカピであった。
瞳は虚ろで、抵抗する力も奪われていた。両乳首に付けられた小型バイブが虚しく動き続ける。よわよわしく噛み締めるボール型の猿轡からは唾液が滴り落ちていた。

「いや〜、先生!あんたのおかげで、もうこんなに元気だよ!こんなにこの子を弄り倒しても、まだ力が溢れてくるんだ!だからあんたにも、この快楽を分けてあげたくってね。
ここにある道具は好きに使っていい!欲しい男の娘がいたら言ってくれ。って、やっぱり普通に女かな?」
 上半身裸の脂肪を揺らすフレンチブルが言う。

「いや、俺はそんな趣味ないんで」

 つれない院長にめげず、ブッチリーノは本題を話す。

「この部屋はワシとクーしか通さない。あんたらをここに呼んだのは、ここでしか話せない内容だからだ。
実はな、柴組に潜らせたヤツの情報だと、どうも”化け狐”が入り込んでいるらしい。柴犬側の潜入スパイがな」

 ロンの背筋が凍る。早くなる鼓動を抑えられない。

「あんたらじゃないってワシは思ってる。あんたらなら、ワシを元気にしてどうするんだってことになるからなぁ。だからここであんたらには話しとこうと思ってな」

 ロンに作戦が上手く行っている実感が湧いてきた。
この流れを利用したい気持ちが、彼を先走らせた。

「ドン・ブッチリーノ。多大なご高配を頂き感激しております。私の方は部類の女好きを謳っておりましてぇ。
今度の獣身売買には格別な美少女獣人たちが手に入るとのことで、是非、参加奉らせて頂ければと思うのですがぁ・・・」

 ロンのいかにもな恭しい態度だったが、ブッチリーノは笑みを浮かべ応じた。

「いいだろう。今度の”取引”には、あんたらも連れて行こう。場所と時刻も教える。連れていく人数もな。武器とかは持って行かんから、軽いピクニック感覚だからな」

 ブッチリーノの言葉を、ロンはしっかりと記憶した。

「ずいぶんと、気前いいんですね?」
院長が言った。

「うん?ああ、そうだな。遠慮は要らないからな。好きなコを選ぶがいい。ワシのこの子みたいに」
 ブッチリーノは、磔のままのクーを眺める。

 院長は黙って、クーの”生体”を観察していた。

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