大人二次小説(BLGL・二次15禁)

文スト 太中 (急に終わるかも)
日時: 2018/11/29 23:48
名前: ハフェズ

文ストの小説、太宰×中也を書こうと思います

主に双黒のお話になります
微エロ注意です(一応)
軽く行為を示唆する表現があるかもしれません
ご注意ください

また、太中苦手という方はご遠慮ください
判断などは自己責任でお願い致します


【2016.3/7 参照1000突破致しました!ありがとうございます!】
【2016.5/1 参照2000突破致しました!ありがとうございます!】
【2016.5/26 参照3000突破致しました!ありがとうございます!】
【2016.6/19 参照4000突破致しました!ありがとうございます!】
【2016.6/30 参照5000突破致しました!ありがとうございます!】

Page:1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30



お互い ( No.55 )
日時: 2015/12/25 15:47
名前: ハフェズ





「私が中也の外套から車のキーを盗ったのは、今朝の話だよ?」
「はァ!?」
予想と違ったのか、眼を見開いて素っ頓狂な声を上げる彼。声には少しの呆れを滲ませていた。
「君はもう少し自分の事に気を配るべきだよ。特に、身の周りや所有物の確認は欠かせない。コレは只のキーだったから良かったけど、」
指の先に鍵を引っ掛けてくるくると回す。中也が「あっ」と言う表情をした。
「重大な極秘データが入ったメモリとかだった場合、如何責任を取る心算だったのかな」
「っ」
言葉が出ないのだろう、恨めしそうに此方を上目遣いに見る彼は、可愛かった。
でも、これは只の余興に過ぎない。
本当のお愉しみは、ココからで。
爆破地点から十分な距離を取った所で足を止め、私達は走って来た方向を顧みた。
 そろそろかな…
薄らと雲が覆う空を、其処だけ紅焔でぼんやりと白く染まっていた。あの様子だと、かなり勢い良く燃えているのだろう。
ヒュゥゥゥ
頼り無い笛の音が、微かに耳に聴こえた。
 …来た。
「な、なんだ…!?」
実の所、この部分の設置に最も時間と労力を費やした。少しでも手許を狂わすと、丁度良いタイミングには起動して呉れない。
「遊び心に、火がついちゃって」
「でも、花火≠ネんて…」
流石にやり過ぎじゃねぇのか、と花火に釘付けになりながら言う中也に、自分も花火を見る振りをしてそぅっと手を差し出す。確かに、やり過ぎかも知れない。彼にここ迄するなんて、私はーー。
中也が此方を見た。ん、と差し出された腕に気付く。
「コレ」
敢えて顔は向けず、遠くに目を遣った侭で言った。
「…何だよ、次は」
「うふふふふ。まぁ、開けてみてよ」
そう言って、握っていた小箱を中也に渡す。急な相棒の柄にもない行動に、一寸ばかりの愕きを通り越して不気味に感じているのが伝わって来た。訝しげに小箱を舐め回す様に見る中也に、其の場のノリとは言え御丁寧にも小箱なんかに入れた自分が恥ずかしくなった。
「!!」
箱を開けた彼が、信じられない、と言う風に瞬きをした。
汚れを綺麗に拭き取って、新品の様になる迄磨いたのは、私だよ。口に出す代わりにふふ、と微笑った。
「太宰、お前、これ探しに行ったのか」
きらきらと煌めく銀を手にしても尚、信じ難いと言っている表情で彼が訊いて来た。
「うん。…中也は気付いて居ないみたいだったけどね。君の事だから、何処で無くしたのか見当も付かなかったんだろう?」
「あぁ…。何処で見付けたんだ?…昨日の任務前、河に飛び込んだお前の後を追ってずぶ濡れになりながら引き揚げた時には未だあった事は憶えてるんだが」
「実は私、中也がソレを落とす所を見たんだ。…昨日の任務中、中也が敵に刺されて、私が引き金を引いた直後だった」
「なっ、あの時か…ッ!」
気付かなかったぜ…と俯き漏らす彼は、本当に口惜しそうな顔をして居た。
其れから顔を上げると、少し間を置いて「如何して其の時教えて呉れなかったんだ、」と問うた。


お互い ( No.56 )
日時: 2015/12/26 01:26
名前: ハフェズ

「え、何でって…中也が心配だったからに、決まってるじゃあないか」
「ふぅん」
「信じてないね」
「当たり前だ。どうせ厭がらせか何かだろ」
「でも中也、乗ってきたじゃない」
「ハッ、確信犯かよ…」
中也が、笑った。怒ると思っていたのに、何だか得した気分だ。
「じゃあ、私の勝ちって事で良いね?」
「…文句言っても聴く耳持たねぇだろ」
「良くお解りで」
花火も終盤を迎えたらしく、みるみる勢いを増して行く。中也と其れを眺められるなんて、しかも啀み合う事なく、互いに落ち着いた雰囲気で居れるのは、なんて素敵な事だろうと、一人思った。 悔しい思いを噛み締めて居るであろう中也には酷な話かも知れないけれど、相願わくは、中也も同じ事を思って居て欲しい。
「……から…」
中也が何かを呟いた。遠くの花火の音が邪魔して、上手く聴き取れない。
「ん?良く聴こえなかった、何って?」
「…もう、無くしたりしないから」
手の中のジッポーを、胸の前でぎゅっと握り締めて彼が言った。
 君は、なんて嬉しい事を言って呉れるの
一気に愛しさが込み上げてきて、直ぐにでも彼を腕の中におさめて仕舞いたかった。しかし、其れと同時に、焦らしたいと言う感情も湧いて来て…。
「…本当に?如何も信じ切れないなぁ」
「絶対無くさねぇ。だから、信じろ」
思えば、あの時も、こんな冴えない夜空だった気がする。
数年前の夜。今日みたいに、任務を終えた後の、暗闇で。
美しいレリーフの刻まれた、銀のジッポー。其れは、私から中也への贈り物だった。
大事に使って呉れて居るのだろうかと、時々不安にもなったけれど、彼の手の平で輝くのは、何時でも私が贈ったジッポーだった。
「本当にかい…?」
「本当に」
「絶対だよ」
「ああ、約束する」
「今度約束を破ったら、赦さないから」
「解ったっつの…」
手を伸ばしてそっと頬に触れると、澄んだ双眸がじっと此方を見詰め返して来た。
「中也……」
ふわりと髪を浮かし、静かに顔を近付ける。残った方の手をするりと外套の下へと滑り込ませると、中也が眼を閉じた。…今夜はやけに素直だ。普段の中也なら、迷わず肩を突き返されるか、容赦無く右フックが飛んで来る場面であった。そんなに私を欲して居たの、中也。でもね、……
互いの唇が触れ合うか否かと言う所迄顔を寄せ、しかし焦らす様に接近を止める。
 其れより先に、済ませておきたい事があるんだ
近付けた顔を然り気無く耳許へと移し、ゆっくりと口を開いて言葉を声にする。
「これで、満足頂けましたか」
忍び込ませた片手が、あるものを掴んで引っ張り出した。

Re: 文スト 太中 ( No.57 )
日時: 2015/12/26 01:37
名前: ハフェズ


結局、24日ばかりか25日にすら間に合いませんでした…
すみません(;_;)
まぁクリスマスネタな訳ではなかったし、
個人的な目標なだけでしたので…
とは言っても宣言してしまったのは間違いありません
勝手なご迷惑をお掛けしました
年内には、なんとか…頑張ろうかなと思います
お待たせしてしまうでしょうが、
どうか気長に待ってやって下さいねm(. .)m

お互い ( No.58 )
日時: 2015/12/26 16:12
名前: ハフェズ





「ーーーえっ?」
「部下の会話を盗み聴きとは、貴方も大胆なお方ですね」
太宰が躰を離した。其の手にあるのは、先程迄外套の内ポケットの中に眠らせていた、首領からの貰い物でーー
「ま、待てよ太宰、一体何の話だ…?盗み聴き?っ誰が、」
「中也も中也だ。幾ら首領から直接賜ったものだからって、微塵も疑う事無く無条件に受け入れ、其の上、懐に忍ばせるとか…有り得ないし。其れでも君は、この私の相棒かい」
太宰が、血も凍る程に冷淡な眼を向けて言う。俺は思わずたじろいで仕舞った。見えない鎖に躰の自由を奪われて居る様な、そんな感覚。
射る様な視線をジッポーへと移すと、カチン、とケースを開き、中のインサイドユニットを取り出した。太宰の手を離れたケースが、乾いた音を立てて地面を打つ。
「なぁ、嘘、だろ」
「…嘘だと思うなら自分の眼で確かめてみると良い。ほら」
インサイドユニットを逆さに持ち、底にある僅かな窪みに爪を引っ掛けて、側面を引き剥がすと露わになった黒い小さな物体を目にし、更に思考が停止する。
え…?嘘だろ、そんな……。有り得ねぇ、首領がこんな事するワケが。
「盗聴器。解るよね、其れ位」
クイ、と吊り上げられた唇は、彼の瞳とは対照的に、艶めかしく誘う様で。
すぅ。太宰が空気を吸い込み、緩やかに息を吐く。其れから手を開いて持って居たソレを解放した。太宰の手を離れたソレは、当たり前の事ではあるが重力に従って落下する。
「二度とこの様な真似は為さらないで下さい…首領」
「っおいッ…!」
脚を上げた太宰が、最後にちらっと此方を見たが、彼には辞める心算などこれっぽっちも無かった。
『ーパキッー』
軽い、プラスチック製のものが割れる音と共に、盗聴器だったものは一瞬にして只の路上の塵と化して仕舞った。
何て奴なんだ、コイツーー。
最早己の身を護って呉れる首領≠ニ言う盾は無く、急過ぎる展開に訳が解らなくなった。否、一つだけ解る事がある。其れは目の前に立ち塞がる相棒を、相当怒らせて居ると言う事だ。
「…だ、ざい…?」
恐る恐る彼の名前を呼んでみる。
「そりゃ、俺が悪かったけど、そこ迄…怒らなくても…」
「私が、怒ってるって?」
太宰の奴がふっと表情を緩め、俄に笑い声を漏らした。
「んー、確かにお仕置きは必要だと思うけど」
「は?」
「でもこれで、やっと二人切りになれたんだし、其れ程でもないよ」

Page:1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30



小説をトップへ上げる
題名 *必須


名前 *必須


作家プロフィールURL (登録はこちら


パスワード *必須
(記事編集時に使用)

本文(最大7000文字まで)*必須

現在、0文字入力(半角/全角/スペースも1文字にカウントします)


名前とパスワードを記憶する
※記憶したものと異なるPCを使用した際には、名前とパスワードは呼び出しされません。