大人二次小説(BLGL・二次15禁)
- 文スト 太中 (急に終わるかも)
- 日時: 2018/11/29 23:48
- 名前: ハフェズ
文ストの小説、太宰×中也を書こうと思います
主に双黒のお話になります
微エロ注意です(一応)
軽く行為を示唆する表現があるかもしれません
ご注意ください
また、太中苦手という方はご遠慮ください
判断などは自己責任でお願い致します
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- お互い ( No.51 )
- 日時: 2015/12/23 10:43
- 名前: ハフェズ
三十分程車を走らせてから、私は又車を停めた。
二つ目の目的地は、古いビル街でもなければ、港近くの倉庫街でもなかった。何ら変哲の無い、其れなりに活気付いた通りだ。四車線の道路の両脇には街路樹が、冬の飾り付けをされて並んでおり、歩道を歩く人数も少なくない。
車を停めたのは路上だった。後から来る車には邪魔かも知れないが、三四分の間は許して貰いたい。私は今度は後部座席に松葉杖を残した侭、目の前の店へと足を進めた。人の目の多い場所で目立つのは出来れば避けたかった。まあ、黒光りする外車から、これも又黒ずくめ男が一人出て来る時点で、十分人目を引いているのだけれど。
予定通り、私はものの数分で用事を済ますと、車に乗り込み助手席に紙袋を置いた。其れからシートベルトを締めて、アクセルを踏み込む。
店内では不自然に思われぬ様、努めて平静を装った。だから、真逆私が左脚に怪我を負っているなんてそんな事は思わなかっただろう。お蔭で左脚に痺れる様な痛みを感じる。一寸無理をし過ぎたかな。でも、三つ目の用事が、今日の一番とも言える位の大仕事なのだよねぇ、これが。
私は半分投げ出したい気持ちに襲われたが、甘い褒美の事を思い出して襟を正した。
目的地は、後一つ。
- お互い ( No.52 )
- 日時: 2015/12/24 01:08
- 名前: ハフェズ
「派手に、ねェ…」
中也は今朝渡された書類を眺めながら、一つ溜息を吐いた。
今晩の任務はポートマフィアと敵対する組織を潰すと言う訳ではなく、余所の組織からの依頼であるとの事であった。その依頼の中に、出来るだけ派手にやって呉れと記されていたらしいのである。御要望はある組織の壊滅で、其の為なら幾らでも金を積むときた。首領は、壊滅後の責任は一切負わないと言う条件の下で快くこの依頼を受諾した。
依頼≠ニ言っても、親しい友人の誕生日を盛大に祝うのとは訳が違っていて、先方が言ってるのは社会の掟を悉く破る様な内容のもの、謂わば殺し≠ナある。それを派手にやって呉れとは、中也には先方が並々ならぬ怨念をその組織に対して抱いているか、又は只の悪趣味な奴等であるとしか思えなかった。けれども、首領が受諾した話。首領の決定には従う他に選択肢は無い。
昨日みてぇな事にならなきゃ良いが。
太宰の焦った顔が眼に浮かぶ。彼奴の緊迫した様子を見ると此方までハラハラして来るから不思議だ。そんなの、らしくないと思った。焦る太宰も、其れを真に受ける自分も。二度と同じ過ちは繰り返さない。次は、もっと良い結果を出して遣る。中也はソファに寝そべって居た躰を起こした。
其れよりも……。
「鍵が無ぇんだよなァ…、鍵が」
太宰に何と文句を言って遣ろうか。しかし怒号を飛ばした所で、目的の地迄車で乗り付ける訳でもあるまいし、などと太宰に言われればお仕舞いだ。今回も昨夜と同じく部下の運転する車に乗って行く心算だったから、中也の車は必要ではなかった。だけれども、自分の愛車を太宰の奴に好き勝手乗り回されているのかと思うと、腹が立って仕様が無い。ここは矢張り、例え心の小さな奴だと思われたとしても、一発ぶち込んで遣らなきゃ気が済まねぇ。車を借りるなら、「借りる」とそう言えば良いだけの事である。
壁に掛けられた時計が、時刻を表していた。
中也はソファを離れ、帽子と外套を手に送迎の車の元へと向かった。
若し太宰が、中也の愛車に乗った侭水の中へ突っ込んだりした其の時には…
最早使いものにならなくなった車体ごと、纏めて重力で圧し潰してぺしゃんこにして遣る
- お互い ( No.53 )
- 日時: 2015/12/24 14:02
- 名前: ハフェズ
任務開始迄あと十五分を切った。唐変木は未だ現れない。
冷たく乾いた風が、亜麻色の髪を攫って行った。背後に数名の部下を控えさせ、俺は寒さを無視して一点を凝視して居た。さて、奴は約束通り姿を見せるだろうか?
派手にするには矢っ張り爆破かなと思い、一応は火薬を、事前に結構な量用意して来た。後は手許のスイッチを押すだけだ。
しかし……。本当に、こんな事迄する価値が今晩の標的にあるのか。何をしたのかは知らないが、標的となった組織は俺が想像して居たよりも遥かにちっぽけな集団で。如何も腑に落ちねぇ、と言う思いを完全には拭い去る事が出来無い。もう考えるな、と自分に言い聴かせては居るんだが。
其れに、爆弾とか火薬とかを設置するのは俺よりも太宰の方が上手かった。上手いと言うか、手慣れたと言うか、センスがあると言うか…芸術的である、とでも言っておくか。兎に角、彼奴が仕掛けた方が盛り上がるのだ。だが、当の本人は、昼から姿を確認出来ずにいる。俺の車で何処迄行きやがったンだ、糞が。てか、然う斯うしてる間にも、開始時刻十分前になった。
来るも善し。来ないも善し。
そんな事が俺の脳裏を過った。
俺にとっちゃあ今日ばかりは任務をすっぽかして呉れた方が有難い。そうなりゃ、太宰に命令する事が出来るからだ。日常の鬱憤を晴らすかの様に、彼奴に死ぬ程恥ずかしい服を着せて、死ぬ程恥ずかしい台詞を吐かせ、死ぬ程……ーーー
ふと、何かを感じた。
ゆっくりと振り向けば、其処に部下達の姿は無く。
代わりに、誰も居なくなった場所に何時の間にやら男が一人。
ーーーマジかよ。
「やぁ、中也。悪そうな顔して、一体何を考えて居たんだい?」
- お互い ( No.54 )
- 日時: 2015/12/25 00:25
- 名前: ハフェズ
「…来やがったか」
「迷惑を掛けない。そう言う約束だったろう?」
これ見よがしに舌打ちをする中也に、太宰は目を細めて口許を緩めた笑みを浮かべた。
「褒美は何にしようかなぁ」
「はっ、今から仕事だってのに、呑気な事言ってんじゃねぇ。遅ぇんだよ、開始迄もう五分切ってンだぞ?」
中也が勢いを取り戻し、反論を始めた。太宰の表情は…変わらない。
「それに手前、俺の車好き勝手に使ったろ。この俺が気が付かねぇとでも思ったかァ?」
中也は完全に、勝ち誇った様な顔をして居る。
それを見た太宰は、心の内で、気の毒に、と思った。どうかすると其の侭太宰に命令をして来そうだったので、彼の言葉に動じないばかりか、如何にも余裕のある、にんまりとした笑顔をして見せて、
「逆だよ、中也、私は君よりもずっと前に此処へ着いて、暇を持て余して居たんだ。君は、随分と来るのが遅かったね。私、若しかしたら中也は来ないのかも、なんて思って不安になって仕舞ったよ」
太宰は、片方の拳を顔の近く迄持って来て、ひらりと手を開いた。
親指と人差し指の間に光るのは、何かのスイッチの様なものだった。
「…っ!太宰、手前ェ…」
「そう、起爆スイッチ」
ニコ、と笑いながら、太宰が親指を動かした。
突如、闇夜をも切り裂く様な爆音が発せられたかと思えば、白い光と全てを巻き上げる爆風。
爆発音は途絶える事無く辺りの空気を震わせ、建物が崩れる時の砂埃で中也は途端に前後左右が解らなくなった。
「っ糞ッ!!」
咄嗟に両手で顔を覆い隠したものの、眼に砂を入れて仕舞ったのか痛みを感じ、煙に噎せた。前が、見えない。
すると急に、腕を掴まれる感触がして、引き寄せられた。
ーーー残念だったねぇ
この騒音の中でも聴こえる程の、中也の耳の近くで、太宰が囁いた。
噎せるのを堪えるので精一杯で、応えることが出来無い。
そんな中也を余所に、太宰は腕を掴んだ侭その場から走り出した。
煙が薄くなって来ると、太宰は掴んでいた腕を離した。中也ももう前を向いて走る事が出来る。
「おい、太宰…!」
ふと、太宰が松葉杖を突いてないとか言う以前に、同じ速さで走って居る事に気が付き言った。
「何だい中也」
「手前、脚は!?」
「ああ、問題無いよ、痛み止めを飲んで来たから…」
「ッこの莫迦が!」
走りながら中也が激しく太宰を責め立てた。一方の太宰は、ケラケラと面白そうに笑って居る。
「ねえ、さっきは、何時鍵が無くなった事に気付いたって言ったっけ?」
「未だ言ってねぇけど……昼過ぎ、だ」
途端に太宰の笑い声が響く。「中也それ遅過ぎ!」と笑う其奴に、中也は怒りの籠った一瞥を呉れて遣った。
「私が中也の外套から車のキーを盗ったのは、今朝の話だよ?」
「はァ!?」
今度は呆れた口調で中也が言った。
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