大人二次小説(BLGL・二次15禁)

文スト 太中 (急に終わるかも)
日時: 2018/11/29 23:48
名前: ハフェズ

文ストの小説、太宰×中也を書こうと思います

主に双黒のお話になります
微エロ注意です(一応)
軽く行為を示唆する表現があるかもしれません
ご注意ください

また、太中苦手という方はご遠慮ください
判断などは自己責任でお願い致します


【2016.3/7 参照1000突破致しました!ありがとうございます!】
【2016.5/1 参照2000突破致しました!ありがとうございます!】
【2016.5/26 参照3000突破致しました!ありがとうございます!】
【2016.6/19 参照4000突破致しました!ありがとうございます!】
【2016.6/30 参照5000突破致しました!ありがとうございます!】

Page:1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30



お互い ( No.19 )
日時: 2015/11/19 01:34
名前: ハフェズ




エレベーターを降りて突き当たりには、重厚な面持ちの大きな両開きの扉がある。扉は来る者全てを魅了し、そして威圧する。見上げる程に立派な其れは、何も(小柄な)中也に限った話では無かった。
扉の前まで来ると中也は一度息を整え、ゆっくりと其れを押し開いて部屋の中へと足を踏み入れた。それから帽子を取って胸元に当て、一礼し、
「失礼します」
「おや、中也君、早かったねぇ」
「首領がお呼びとの事でしたので」
中也は努めて丁重に応えた。くるりと椅子を回し、態とらしくおどけた表情で言った男は言うまでも無く森鴎外、−−マフィアの首領−−である。不躾な態度など絶対に赦されない相手だ。中也は頭を上げると、首領の次の言葉を待った。
「そうそう、用事と言うのは他でも無い。君も察しの通り、今晩の任務の事なんだけどね」
緊張感も焦燥感も感じられない口調で、丸で取り留めも無い話をする様に男は話し出した。手は、顎の下で組まれていた。
「確認って言っても、書面伝達で解らない中也君じゃないだろう?」
「は…、ええ、まぁ。詳細は書類で知らせると訊いていますが」
「うん。正直、口頭で説明する事なんて無いのだよねぇ…」
そう言って首領は、スプーンで紅茶を掻き混ぜる。じゃあ何故呼び出したのですか。喉元まで出かかった言葉を、中也はぐっと飲み込んで、代わりに困惑した表情で彼を見遣った。
首領は改めて中也の方向を見ると、予想外の言葉を吐き出した。
「そう言えば君に渡したい物があってね。それで君を呼んだんだ」
「…俺に、渡したい物…ですか?」
そう、と男は頷き肯定の意を表した。
「一寸、中也君にアレを渡してあげて」
「はっ」
首領が命令すると、一人の部下が出てきて中也に一つの箱を手渡した。丁度、爆弾でも起爆させる様なリモコン程の大きさだ。今夜は爆弾で敵を制圧しろと言う事だろうか。
「これは、開けても?」
「ああ良いとも、開けてみ給え」
にっこり微笑む首領の前で、中也は箱を開いた。
「!!」
箱の中身を確認した中也は、しかし、愕いて再び男を見た。
何故なら、箱の中には−−−
「これは…」
光を反射し白銀に光る其れは、間違いなく、ライター≠ナあった。
それも、中也が以前使用していたのと良く似たジッポーである。
何故、首領が…?
中也は色々な意味で、混乱していた。
「無くしたと訊いたからあげようと思ってね」
「其れはそうですが、しかし…」
「遠慮は要らないよ。其れは、君へのプレゼントだ」
「はぁ…」
首領から直接物を賜るなど、一介の部下に過ぎない中也にとってはこの上無い程の出来事、奇跡にも思えて来そうな事であった。未だ良く己の置かれた状況を理解し切れていない中也は、只気の抜けた声を出す事しか出来無かった。
「有り難う御座います。これは、大事に保管しておきます」
「あっ、保管するって言っても引き出しの奥深くに仕舞い込んじゃ駄目だよ?日用品なんだし、常に身に付けておいて呉れないと」
「そ、そうですね。大事に、身に付けておきます」
中也がそう言うと、首領は満足そうに頷いた。
「今日の任務、楽しみにしているよ」
最後に男はそう言って、もう下がって良いと言う様に手を払った。
中也は又もや頭を下げて礼をすると、失礼しますと言う言葉と共に、部屋を出た。

お互い ( No.20 )
日時: 2015/11/22 01:20
名前: ハフェズ





真っ黒なエレベーターの中。
太宰は大きく欠伸をした。左脚が訴える痛みを除けば、太宰の頭を占領しているのは遣り切れぬ倦怠感と言う他には何も無い。一層の事、跡形も無く消えて仕舞いたかった。何が、太宰をここ迄生かそうとするのか、実際のところは彼も解らなかった。考えはぐるぐると頭の中を駆け回るだけであり、疲弊した太宰の脳味噌では答えを出す事は出来そうにも無かった。何時崩壊するかも知れない己の意識。その意識に身を任せつつ、どうして私はこんな所に立って居るのだろう、と言う答えの無い問いを投げ掛けた所で、突然に目の前の扉が開いた。
エレベーターの内から松葉杖を出す時の、コツンともカシャンとも聴こえる無機物の音に混じって聴こえたのは、聴き慣れた彼奴の黒の革靴が床を打つ音であった。面を擡げ其の姿を確認した太宰は、やれやれと言う顔をした。近付いて来る男を見詰めながら松葉杖を先へと進める。何と声を掛けてやろう。しかし彼の方は、未だ此方に気付いて居ない様子だ。歩きながら手許をじっと見ている様だった。太宰はいよいよ気分が悪くなった。
「やぁ、中也。君も首領に呼ばれたのかい?」
漸く中也が顔を上げたのは、太宰が中也に後ほんの数米と言う所まで近付いて声を掛けた時だった。
「、太宰…」
「?何、それ?」
太宰は中也の手の内にあるものを見付けると直ぐ様中也に問うた。
銀色に輝く、ソレ。中也はもう一度それに眼を落として、
「これは、別に…。只の貰い物だ」
「ふうん…」
太宰は其れ以上追及しなかった。表では興味の無さそうな返事を見せたが、裏では必死に感情を抑制して居たのだ。
どうせ首領からの貰い物だろう。中也みたいな一介の部下が首領から直々に何かを頂戴すると言う事はまず無い。其の為か、太宰の眼には中也は心做しか喜んで居る様に映った。

お互い ( No.21 )
日時: 2015/11/27 20:58
名前: ハフェズ

面白く無い。首領の行動も、中也の浮かれきった様子も。
太宰は、白銀が中也の胸ポケットへと仕舞い込まれるのを睨んで見て居た。
「そういや太宰、脚は大丈夫なのか?」
此方を見て中也が訊いて来たので、太宰は睨むのを辞めた。中也は左脚の方を顎で示して、
「そんな恰好じゃあ満足に歩けねぇだろ」
「平気さ。これが有れば、何処へだって行けるよ」
そう言って太宰は松葉杖を振って見せた。
「其れにもしもの事が有れば、その時は中也が又負ぶって呉れるだろうし」
「っはァ?誰が手前なんか」
「ふふ、中也は小さいのにね。感心感心」
「手ン前ェ!」
「おっと!注意して呉れ給え、見て解る通り私は怪我人なのだから」
「っ」
大人しく出した手を引っ込める中也を見て、太宰はくすりと笑う。
中也は、私の事だけを見ていれば良い。己の言葉に翻弄される様は、心地良かった。
「ねぇ中也」
「んだよ」
「昨日の約束は、まだ生きているのだろうね」
昨晩の夢を思い起こさせる様な太宰の言葉に、中也は一瞬言葉を詰まらせた。けれども直ぐに何時もの調子に戻す。
「確認する迄も無ぇな」
「忘れたなんて言わせないよ」
「手前こそ、約束はきちんと守れよ?手前が言い出した事だぜ」
「勿論。今日は未だ、中也に迷惑掛けていないでしょう?」
「まぁな。けど、何時河に飛び込むか、油断ならねぇ」
「甘いね。自殺が入水自殺だけとは限らないよ」
ふっと太宰が言う。中也は呆れ返って、
「もう入水でも何でも構わねぇ。兎に角、邪魔だけは絶対すんな」
「頑張ってみるよ」
中也は猶も負傷した脚の事を気に掛けて居たが、じゃあなと言い残して過ぎ去って行った。
太宰も、又後でと口にする。
若しもそこで振り返っていれば、中也はその事に気付く事が出来たかも知れない。

中也が過ぎ去り、互いに背を向ける。

その時太宰の左手の指先で、ひらひらと車のキーが揺れていた。

お互い ( No.22 )
日時: 2015/11/30 19:02
名前: ハフェズ





《 十数時間前 》

『準備が整いました』
『良し。ーーーー出撃』
それを合図に、漆黒の闇の中、気配を消した黒£Bが一斉に動き出す。
ある者は銃を、又ある者はナイフを手に、敵を指定の地点へと誘導させるべく寄ったり引いたりを繰り返して来た。その間無線が彼方此方と飛び交っていたが、敵が狙い通り入った≠ニの報告を受けた中也が次なる指示を下したのだった。
中也はビルの屋上から地上を盗み見た。今晩の標的である何処ぞの組織だの何だのの輩達が、己の行き場を失って後退りして行く。莫ァ迦、其の先は行止まりだよ、と中也は心の内で嘲笑った。きっと面にも表れていたのだろう。隣の太宰が、御機嫌だねぇと話し掛けてきた。
「まぁこんなマフィアの端くれみたいな奴等なんて所詮、私達の敵ではないよ」
「此奴等全員、皆殺しか…」
「憐れみかい。彼等が犯した罪を知って居ながら」
「彼奴等も莫迦だよなァ、契約破棄とは」
中也はハッと鼻で嗤った。自業自得ってやつだ。ポートマフィアの恨みを買う事は詰まり死を意味する。しかも任務に当てられたのは、首領も期待の二人組。太宰と中也を仕向けるとは…、買った恨みの大きさを感じさせた。
「…」
急に無言になった相棒を気にして、中也は太宰を横目で見遣った。横目と言っても、太宰の顔は中也より数十糎上方にある為、必然的に見上げる形になるのだが。(見上げて)見た顔は、少し険しくも思われた。
「…変だ」
「…何が」
「一寸上手く、行きすぎてると思わない?先方が行止まりかも知れないと言うのに、あんなに早く前に進もうとするだろうか…」
「焦ってるんじゃないのか」
「に、してもだよ。普通、敵を食い止める為前線には少なからず人員を配置しても良いものなのに、彼等は逃げるばかりで此方に見向きもしないじゃないか。おかしいよ」
「そう言われてみれば、確かにそうだな…。真逆、此方の部隊を誘ってるとか?」
真逆な、と中也は冗談混じりに言った心算だったのだが、その台詞に太宰が過剰に反応して、
「っそれだ!!」
「は?なに」
「中也一寸黙ってて」
太宰が無線をオンにして指示を出し始めるので、中也は黙って見て居る事しか出来なかった。

Page:1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30



小説をトップへ上げる
題名 *必須


名前 *必須


作家プロフィールURL (登録はこちら


パスワード *必須
(記事編集時に使用)

本文(最大7000文字まで)*必須

現在、0文字入力(半角/全角/スペースも1文字にカウントします)


名前とパスワードを記憶する
※記憶したものと異なるPCを使用した際には、名前とパスワードは呼び出しされません。