大人二次小説(BLGL・二次15禁)
- 文スト 太中 (急に終わるかも)
- 日時: 2018/11/29 23:48
- 名前: ハフェズ
文ストの小説、太宰×中也を書こうと思います
主に双黒のお話になります
微エロ注意です(一応)
軽く行為を示唆する表現があるかもしれません
ご注意ください
また、太中苦手という方はご遠慮ください
判断などは自己責任でお願い致します
【2016.3/7 参照1000突破致しました!ありがとうございます!】
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- お互い ( No.39 )
- 日時: 2015/12/16 00:48
- 名前: ハフェズ
重い。…こうなる事は予想しては居たけれど。
形勢逆転とでも言うのだろうか。いや、一寸意味合いがずれるので違う。でも真逆、寝るなんて。
私はよいしょ、と負ぶっている小男を上に上げた。その刹那、鋭い激痛が走り左脚が悲鳴をあげる。
「重い……」
私は怪我人だ。負傷者だ。此奴よりも遥かに深い傷を負っている筈なのだ。だのに、如何して…。後で十倍にして返して遣ろう。
そして何故彼の執務室はこんなにも遠くに在るのか。別に良いけど。
文句を言うなら、彼など其の辺に捨てて仕舞って、自分だけ行けば良い話。若しくは適当な部下に担がせれば、それで済む。…のだが、他人に快く中也を任せ、触れさせる程の心の余裕は私には無い。彼に指一本、或いは髪の毛一本にでも触れようものならば、即彼の世送りである。ああ…外套も、帽子も全部駄目だ。そんなの穏やかじゃあ居られない。
ドアの横に彼を、半ば投げ捨てるかの様に下ろす。一気に重さから解放されて、肩が浮く感覚を覚えた。中也の外套のポケットの一つから鍵を取り出し、開ける。ついでに型を取っておいた。
「おうい、中也、起きて」
うぅ。中也が唸った。
「起きろー」
頬を少し強めに叩く。ぺちんぺちんと良い音が鳴った。
「しょ う ど く、しないと」
何度か呼び掛ける内に、中也が目を開けた。当然の如く眉間には皺を寄せている。
「……あとで」
「後ぉ?…知らないよ、悪い菌が全身に回って死んでも」
「…あと…」
言うと、彼は部屋の中のソファ迄歩いて行き、倒れ込んだ。暫くも経たぬ内に微かな寝息が聴こえて来る。私は少しの間彼を観察していたが、やがて机上へと眼を移した。
パソコン、電話、分厚くて大きな本が何冊か、ペン類、インク、修正液、……。それ以外のスペースは、ほぼ、書類で埋め尽くされていた。堆く積まれた書類。見ると、半分近くは本来ならば私の処理すべき内容のものらしい。今年に入ってからと言うもの、中也が調子を崩す回数が増えた理由が解った。彼は変に真面目な所があるから…。きっと、こう言うのは放っておけない性なのだろう。何とも不利な性格である。
- お互い ( No.40 )
- 日時: 2015/12/16 21:42
- 名前: ハフェズ
しかし、良く寝る。ハードスケジュールに、睡眠不足が続いた事も相俟ってか、スヤスヤと気持ち良さそうにーー少々険しい顔だがーーソファに躰を委ねて寝ている彼。憐れな相棒、と意識せずとも声に出た。
ジッポー。取りに行きでもすれば、彼は怒るだろうか、それとも愕くものの喜ぶだろうか…。行くと言えば、止めようとするのは間違い無い。では内緒で?…などと、高が使い込んだライター一つの為に考え込む自分が居た。
あのライターは特別だから。
必ず彼の手へと戻さなくては。落とした場所なら、私がこの眼で見たので直ぐに解る。只、任務完了後に誰かに見付かって、処分されて仕舞ったかも知れないと言う事だけが気掛かりで。
「……大事そうに、持ち歩いていたよね…?」
請う様に、中也に訊ねる。返答は勿論無い。
だって。…あれは、君にとって、とても大切なものでしょう?あんなに愛用していたじゃあないか。
そこ迄思ってから、私は、アレに執着しているのは中也よりも寧ろ自分の方ではないか、と気付き、急に自分自身が可笑しくなって仕舞った。若しかしたら中也は、私なんかより前に既に諦めがついていたのかも知れない。そう考えると、無駄に体力を消耗した気がして、呆れて自分を嗤った。
- Re: 文スト 太中 ( No.41 )
- 日時: 2015/12/17 15:41
- 名前: 菊泉
お久しぶりです
友達が恐ろしい量を読んでいるので、感化されてしまいました笑
ワールドトリガーも借りてみます!
そして睡魔に勝てない中也さんに萌え。可愛すぎるー!
- お互い ( No.42 )
- 日時: 2015/12/17 23:29
- 名前: ハフェズ
嗚呼、可笑しい。と同時に、何か悔しい。
取り返しに行こう。明日、もう一度あの場所へ行って、持ち帰るなり中也に放り投げてやる。それから、彼が何か言おうとして口を開いたのを、塞ぐ。何で≠ゥって?手ではないよ。
橋の上で彼が言った言葉の欠片が蘇る。とても眠そうにしていたから、寝言だったと言う可能性も否定は出来ない。
つい、躰が動いて…
条件反射って言うのか?
けれども其れは、信じてみたくなる様な欠片で。
無意識で私を救おうとするなんて…。嗚呼、中也は矢っ張り、莫迦だ。
そして、私も。揃いも揃って救いようの無い莫迦なのだ。
二人は、双つ。決して交わる事は無いけれど、全くの別ものと言う訳でも無くて、…きっと元を辿れば何処かで繋がっている。なんて、戯言に聴こえるだろうか。
ソファの上で、中也が動く音。それから彼はゆっくりと、猫の様に伸びをして大きく息を吐いた。
「……居るのか、太宰…」
未だ寝惚けた様な顔で、寝起きの時の声で言う。
「お目覚めかい、早かったね。私はずっと此処に居るけれども」
中也が眠っていたのは、数十分の間だった。如何やら本格的に寝る心算は元々無かったみたいだ。
「済まねぇ…」
私は本の少し愕いた。彼に謝られるとは思っていなかったから。未だ寝惚けて居るの、と訊ねてみた。返事をする代わりに、彼は「背中が痛い」と顔を歪めた。
だから部屋に着いた時、ちゃんと言ったのに。ほらね、と眉を上げて見せる。中也は決まりが悪そうに帽子を載せ直した。眠気は大凡去って行った様で、仕事用の大型の両袖机に目を遣っては、諦めを滲ませた嘆息を漏らし、無雑作に頭を引っ掻く。そんな彼に私は、つい今しがた拵えたばかりの台詞を述べたのだった。
「如何だい、始末書なんかは明日にして、今日はもう家に帰らない?」
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