大人二次小説(BLGL・二次15禁)

文スト 太中 (急に終わるかも)
日時: 2018/11/29 23:48
名前: ハフェズ

文ストの小説、太宰×中也を書こうと思います

主に双黒のお話になります
微エロ注意です(一応)
軽く行為を示唆する表現があるかもしれません
ご注意ください

また、太中苦手という方はご遠慮ください
判断などは自己責任でお願い致します


【2016.3/7 参照1000突破致しました!ありがとうございます!】
【2016.5/1 参照2000突破致しました!ありがとうございます!】
【2016.5/26 参照3000突破致しました!ありがとうございます!】
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Re: 文スト 太中 ( No.91 )
日時: 2016/03/28 00:47
名前: ハフェズ


次作のメモのようなもの(中太気味かもしれませんが、行為では太宰さんが上なので一応太中かと…)


「…中也」

何度その名前を口にしても同じだった。
彼はまるで、ガラスで出来た壁を隔てた向こう側の世界にいるようで。
実際にはこんなにも近くにいるのに。
「ねえってば」
好い加減、返事の一つくらい呉れたっていいじゃない。そうでしょう、だってほら。私はずっと君の名前を呼んでいるのに。
いつからだっけ。小さい頃はまだ、喧嘩をして仲直りをして戯れ合うような関係だったよね、私たち。それが…いつから?
君が私に興味を示さなくなったのは、一体いつ?
一体、君に何があった?
「   」
試しに口にしてみた。私自身、それが己の本心であるとも知らずに。
すると、噫、中也が反応して呉れたから。

 好きだよ

それが凡ての始まり……契機だったのかも知れないね。
久し振りに琥珀が揺れた。潤んだ瞳は哀しそうだったけれど、直ぐに元に戻って仕舞ったから、私はまた口にする。
少しでもいい。中也…君の反応が欲しいんだ、だから……。

目を瞑らないでお呉れ、
そっぽを向かないで、

「好きだ」

ねえ…笑った顔が、見たいよ……


知らぬ間に自分の心に布を被せた。
嘘を吐いていたのは。
自分を騙していたのは。
仮面を被っていたのは、一体、何方なのかーー?









(まだこの内容でいくとは決まっていませんので、後になってから消す事もあります。忘れないようにと書き留めておくだけです。気楽にお読みください)

locked ( No.92 )
日時: 2016/03/28 13:54
名前: ハフェズ




《 locked 》


ふかふかな絨毯はその邸の殆どの床を覆っていた。
だから足音を立てる心配も無かった。無音のうちに凡て終わる。
壮大な舞台装置(set)の割に随分と呆気ないものだったな、と。
作戦開始前には、どんなドキドキハラハラする展開が待ち構えているのかと胸躍らせていたのだが…。とんだ期待はずれだったようだ。
「中也ぁ〜」
「ンだよ…」
「今夜は泊まりだねぇ」
外は晴れているのか、月の光が窓辺の絨毯を青白く照らしていた。手を翳したらサアァと砂か煙になって消えて仕舞いそうな程白い。私たちはその光から遠ざかるように部屋の中央に落ち着いていた。スイッチはある筈。それを敢えて点けないのには…別に訳なんて無い。けれどこうしていると、二人とも闇に溶け込んだみたいで、静寂と安心感が得られる。

触れたくて後ろからそっと抱きついた。
中也は、
「何が悲しくて、手前と同じ宿に泊まらなきゃなんねぇ」
と文句を言っただけで。
抱きつく腕に力を入れた。彼はきっと冷たい瞳で遠くを見詰めているに違いないだろう…。
「そうだね。此処が深い森の中でなければ…ね」
彼の背中でウフフと笑う。何が面白くて、何が愉しいのか。それが全く判らなかった。そしてついに呆れたのか、中也が「邪魔だ、離れろ」と言った。私が厭だと言うより先に腹部に回された腕を解いて、腰掛けていた天蓋ベッドから去って行く。行かないで…。
腕を伸ばしてシャツの裾を引っ張ると、何だと言う風に彼は振り向いた。
「ここで寝ない心算…?」
拗ねたように口を尖がらせて言うと、当然、と言わんばかりに目を細められる。
「居間にデッカいソファがあった。俺はそこで寝る」
「はぁ?何それ」
そんなの納得いかない。ソファよりベッドの方が寝心地が良いに決まってる。
だけど中也には、私と一緒に寝るのを拒む理由があるみたいだった。
せめてそれだけでも吐かせようと、詰め寄れば存外あっさりと吐き出した。

「お前寝相悪ぃだろ。蹴られて安眠出来ねぇなんて御免だからな」

何を、言っているのか、と。
理解するまでに数秒必要だった。
私は…寝相、悪くないんだけど。…昔の事は別にして。

「…いつの話をしているの…?」

思わず口に出た言葉は彼に対する僅かな不気味さも含んでいた。
「いつって、お前……」
確かに中也に蹴りを入れて睡眠の邪魔をした記憶もあった。その後は必ず取っ組み合いの喧嘩になったものだ。
けれど、それは子供の頃の記憶だ。
「中也…?」
ベッドの上に座る私と向き合って突っ立ったまま、暫くフリーズしたように固まって仕舞った彼。
「…っ」
暫くして中也が苦い顔をした。下唇を強く噛んで、ほんの少し朱に染めて。
言ってはいけない事を口に出して仕舞った、と、彼が思っている事は明白だった。
「ねえ、中也」
何も見ていない。私は何も聞かなかった事にするから、だから、
「ベッドで一緒にーーー」
「うるせぇ」
きっぱりと、中也が言い切った。
「今のは、忘れろ。……俺は行く」
追いかけようとして、彼に止められた。

「付いて来たらーーゆるさねえ」

バタン
一人寝室に取り残されて、私は天井を仰ぎ見た。
 ゆるさねえ
殺す、と言われた方が、まだマシだったかも知れない。
今日も駄目だった。
中也が元の中也に戻る日は、来るのだろうか。



この数時間後、私たちはアクション映画さながらの戦闘に巻き込まれる事になる。夜明け前に降り出した雨は弱まる事を知らず、そればかりか嵐となって邸を水で覆った。雷をも伴う嵐は戦況を大きく悪化させた。

数時間前に期待した通りの展開が、時間差でやって来るなど…。
一体、誰が、予期出来ただろう?

locked ( No.93 )
日時: 2016/04/04 01:10
名前: ハフェズ




轟音にも近い雨の音で目覚めた朝。また夜が始まったかのようだった。
真っ暗で、時折窓の外が光っては一瞬部屋の家具を照らし出す。
暗い。
それから少し、肌寒くて。
昨晩の静寂は何処へやら…。
この雨の音で聴こえる筈もないのに、私は慎重に床に足を下ろした。


『ーーガチャリ…』

彼は、既に起きていた。ソファに躰を沈ませて、白いカーテンの向こうを見ていた。
よく眠れたかい、なんて訊ねるのは野暮だった。雷によって映し出される彼の顔に刻まれた隈が凡てを語っている。だから私はお早うの代わりに開眼一番に気付いた事を口にして言った。

「ーーーー敵襲だ」

今直ぐに、と言う程差し迫った状況ではないが、おそらく二、三時間経たぬうちに敵は何かしらの攻撃を仕掛けて来ることだろう。間違い無い。
中也は窓の外を見詰めた侭で言った。

「……然もーー囲まれてる」

矢張り、中也も気が付いていた。きっと私と同じように、目を覚まして直ぐに気付いたに違い無い。
その道の人間にしか判らないような些細なもの。教えられて身につくものでもないそれは、第六感とでも言うのだろうか。
「下に居る部下たちには伝えた」
後は作戦を如何するかだ、と独り言のように言って、自分はソファの背凭れに投げていた上着に手を伸ばす。
中也の台詞から考えるに、彼には退散する≠ニ言う考えがそもそも無いみたいだ。何故か、と問えばそれはまあこの邸のロケーション的な問題なのだが…敵に邸を包囲された状況の中、昨晩の暗殺の任務の為にとそれなりに連れて来た構成員全員そろって無事に帰還することは、森の中で嵐に堪え乍ら待ち構えている敵の数からしても、まず、無理な話だった。あくまで推測ではあるが、敵は少なく見積もっても数千、一旅団強に匹敵するくらいの数はいる筈で、何処から掻き集めたものかは知らないけれど此方の構成員よりも多いのは確かだ。

locked ( No.95 )
日時: 2016/04/04 02:35
名前: ハフェズ




また窓の外がカッと白くなった。
彼が上着に腕を通すのを見守り乍ら、腹部に違和感を覚える。それから私は自身が空腹であることに気付いた。
「確か下に、無駄に広い食堂(ダイニングルーム)があったね。そこに集まって会議を開こう、彼処なら皆入れるだろうから」
そう提案すると、暗闇の中、初めて中也が私の方に顔を向けた。

中也は、私の予想に反して、口許に薄っすらと笑みを浮かべていた。
そうして「皆で仲良く作戦会議、か?」と、小馬鹿にしたように笑う。

噫、中也は今、私と同じ気持ちなのだ。
これから体験する出来事ーーーそれはきっと最高にエキサイティングなーーーに対する、純粋な昂奮。
まだ始まっていないように見えて、実はもう既に始まっていて。
その抑え切れない感情が、彼の魂を異常なまでに奮わせているのだ。

…だから、普段見せることのない表情を。

「作戦会議と言う名の、食事会だよ。腹が減っては戦は出来ぬってね。
 中也も来るだろう?」
私も彼と同じ笑みを浮かべる。中也は無言で、けれども柔らかい表情で立ち上がった。

食堂を辿る道は暗かった。だが、覚醒した瞳には、窓から零れる淡い灰色の光さえ眩しく見えるようだった。

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